My hero,my mystery

特撮ヒーローとミステリのブログです

有栖川有栖作品を語ります①(原作編❶)

 四月十五日は有栖川先生が生み出した名探偵火村英生の誕生日だったそうで。ファンのくせに全く把握していなかった、申し訳ないです。つい最近になって有栖川先生の主催する創作塾のTwitterが開始され、そこに記載されていた内容から先生がUPされたSS(アリスと火村の会話)を拝見でき、至福の喜びでした。やってて良かった、Twitter

 さて、今度こそは有栖川作品を真摯に語ろう。最近こんなんばっかや。有栖川先生の作品の魅力にいては先の記事で述べました。

 読みやすい文章、本格ミステリらしいロジック、好感の持てるキャラクター等々。ミステリに限らず、どんな小説も、あるいはこういったブログでも「読みやすい、わかりやすい文章」というのは本当に大切です。何を言いたいのかが頭に入ってこないと、せっかくの御説も心に響かない。ミステリの大家と呼ばれているような方でも「?」な文章は多々ありますからね。

 小説の書き方を指南している方の御本を拝読したことがありますが「〇〇さん(著名なミステリ作家)の文章は『そして』が多すぎる」と指摘されており、以来「そして」が使いづらくなりました(笑)。そういった書き癖?って、一旦気になると本文どころじゃなくなるからね。その点、有栖川先生の文章は変な癖がなく、内容がすんなり入ってきて素晴らしい。簡単なようでなかなか難しいことです。深刻な状況の中でも笑えるシーンやセリフがあって、そのあたりも関西人らしいサービス精神だなと。

 

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双頭の悪魔

 先のお勧めミステリでも幾つかリストアップしましたが、もうちょっと詳しくやってみましょうかね。有栖川作品にはお馴染みの登場人物(探偵と助手等)がいる四つのシリーズの他に、単発の作品もあります。四つのシリーズとは、以下のとおり。

英都大学准教授の火村英生とワトソン役の推理作家・有栖川有栖の火村シリーズ

英都大学の四年生・江神二郎と推理小説研究会の仲間たち(一年の有栖川有栖、有馬麻里亜、二年の織田光次郎、望月周平)が活躍する江神シリーズ

空閑純シリーズ

霊が見える私立探偵・濱地健三郎シリーズ

 この内、は主役が女子高生なので未読。偏見なのはわかっているんですけど、ワシ、女が探偵役の小説ってミス・マープル以外はコロコロコミックのNL同様(何を引き合いに出しているんだ)認めていないというか、読みたくないんですよ、たとえ敬愛する先生の作品でもね。ホント、偏見だけど。男性作家が創り出した『美人』探偵とか『美人』刑事なんかだと尚更。は探偵デビューしたばかりで作品数もない上に未読なので(本は買ったんだけどね)今回は①②と単発作品の中から横溝作品同様、ベスト10を選出してみたいと思います。例によってネタバレしない程度の解説をつけますね。

双頭の悪魔(江神シリーズ)

 推理研の紅一点・麻里亜が家出、彼女の父に頼まれたアリスたちが行方を追う、本格ミステリと青春小説のふたつの味が楽しめるストーリー。謎解きをしながら大学時代のノスタルジーに浸れる。

殺しにくるもの(単発物)〔作家小説に収録〕

 とにかく怖い。小さな事件がドミノ倒しに繋がっていって恐怖のラストに。

幻想運河(単発物)

 アムステルダムを舞台に発生したバラバラ殺人。ミステリというよりはタイトルどおりの幻想小説。謎解きと捉えると物足りないけど、幻想を味わうなら。 

朱色の研究(火村シリーズ)

 火村の大学の教え子が巻き込まれた殺人事件。動機にやや難ありだが、火村シリーズ長編の代表作だと思う。

孤島パズル(江神シリーズ)

 麻里亜に誘われて彼女の叔父の別荘がある島へ遊びにやって来た江神とアリスはそこで宝探しを請け負う。同様、楽しくリゾートする学生気分と謎解きが楽しい。

妃は船を沈める(火村シリーズ)
 事件そのものよりも、事件の核になる女性のキャラが強烈。ホームズに対するモリアーティ教授、明智小五郎に対する怪人二十面相みたいな存在になれそう。 

乱鴉の島(火村シリーズ)

 ミステリではお決まりのシチュエーション「嵐の山荘」と「絶海の孤島」。そんな島にやってきた火村とアリスが巻き込まれた殺人事件の根底にある「考え方」に絶句。

⑧46番目の密室(火村シリーズ)
 火村英生デビュー作。凝ったロジックと動機に

スイス時計の謎(火村シリーズ)

 火村シリーズの中の国名シリーズのひとつ。学生時代の仲間たちが友情の印として同じ時計を所持していたことから始まる事件。国名シリーズは申し訳ないけどイマイチな話が多く、その中ではこの『スイス時計』がよく出来ているかなと。

狩人の悪夢(火村シリーズ)

 ドラマ化最新作だが未視聴。火村の深い闇にもうちょい迫ってほしかった感じ。

 ドラマやコミカライズされたのは専ら火村シリーズなんですが、願わくば江神シリーズもドラマ化して欲しいな。次回はそんな江神シリーズのキャスティング予想も含め、ドラマやコミックについて語ろうと思います。が、その前に、ミステリカテゴリとしては綾辻行人作品をやらねば、だね!