My hero,my mystery

特撮ヒーローとミステリのブログです

綾辻行人作品を語ります①(原作編❶)

 有栖川作品を語ったら、次は綾辻作品について触れなければなりませんね。お二方はデビュー年も年齢も近く、どちらも関西の方で(綾辻氏は京大卒で現在も京都在住、有栖川氏は同志社大卒)共著もあるぐらい仲がいいです。ちなみにウチの次男は両校とも受験しまして「同志社大学(言わずと知れた英都大学のモデル)で社会学部の准教授になったら火村英生になれるじゃん」などという母の妄想を鼻で笑いました。今は違う大学に通っています。

 週刊文春の記事だと思ったのですが、人気のミステリ作家と作品をピックアップする企画で綾辻先生の名前を拝見、デビュー作の『十角館の殺人』を読んで即、ファンに。以来、大抵の作品を読破しました。綾辻先生の有名なお言葉に「読みたいミステリがなかったから自分で書いた」というのがありますが、書いていただいて本当に良かった。そこから新本格ムーブメントが起きたわけですからね。読みたいものがないから、という気持ちはよくわかります。同人誌を創る時もその気持ちが先に立っていました。世の中に存在しないのなら自分で創るしかない。

 綾辻先生も読みやすい、わかりやすい文体ですが、有栖川先生よりややクセがあるかな。気になるほどではありませんが。叙述トリックに関してはもう、驚かされることが多くて、ネタバレになるのでどの作品がどうと説明できませんけど「騙されたと思って読んでみてください、騙されますから」とでも言うしかない。

 綾辻物も有栖川物同様、シリーズ物と単発物があるので、まずはシリーズ物をざっくり解説しますと、

島田潔を探偵に、江南孝明を助手とし、中村青司という建築家が建てた謎多き建物を巡る事件を追う館シリーズ

ミステリとホラーの要素を併せ持つ囁きシリーズ

刑事と探偵、双子が活躍する殺人方程式シリーズ

スプラッターの殺人鬼シリーズ

もうひとつの京都を舞台にした怪談・深泥丘シリーズ

学園物ミステリホラーのAnotherシリーズ

 さて、綾辻先生はミステリのみならずホラージャンルでも定評がありますけど、ワシ、ホラーとか、ましてやスプラッターって苦手なんスよ。ホラーはともかく、スプラッターは……④の殺人鬼シリーズにも挑戦しましたが途中で挫折しました。よって①②③と『霧越邸』などの単発物は読んだのですが、④⑥はナシ、も最初の作品だけかな。

 そんな中でベスト10を決めるというのもおこがましいとは思いますが、まあ、個人のブログなんで自由にやらせてもらいます。が、そうなると大半が館シリーズから選ぶことになり、10ではちょっと多いので5でいきます。

ここから先はネタバレ記述を含みますので未読の方は読んでからの方がいいっスよ。

 

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暗黒館の殺人

暗黒館の殺人押しも押されぬベスト1! 文庫本四冊に分割するほどの大長編ですが、一気に読みました。張り巡らされたトリックというかトラップの域だな、もう凄すぎる。読み終えたあとはロスになりました。ここでどうしても言いたいことがあってネタバレしちゃいますけど、語り手である「中也」は「玄児」のこと好きじゃん、「玄児」も「中也」ラブだし、これってBLじゃん! と思ったとたんにクラクラ。綾辻先生の著作で同性愛が殺人のきっかけになる作品は他にもありますが、この二人がベストCP♥って、メインブログのノリかよ。ともかく「中也」がそっちの人となると、館シリーズの他の作品にも影響が出てきまして、最初の作品『十角館』にリピートするのかなと思いました。

迷路館の殺人これもやられた~感がスゴかったのですが、ひとつ不満が。ネタバレしますよ、いいですね?「計画的に殺人を犯す場合、女であっても動きやすい(逃げやすい)服装をするはず」ここが納得いかない点だったのだ。男の人はそのあたりの想像がつかないのかな。

十角館の殺人よく語られる「あの一行」なんですが、ワシはその前から「そうじゃないかな」と思っていたので、それほどの衝撃はありませんでした。そこまでするのかの動機にやや不満があるけど、探偵・島田潔とワトソン役の江南孝明の出会い、男同士の二人のバディ感が好きです。江南クンを女子にするのはやめて欲しい(コミカライズへの不満)。

黒猫館の殺人そういうやり方もあるのかと、仕掛けられたトリックの規模に驚きました。人気投票?みたいな企画ではあまり評価されてないようですが、ワシは好きです。

奇面館の殺人奇がついているけど、内容としては変化球ではない直球の正統派。

 綾辻作品はコミカライズこそありますが映像化はされておらず(というか視覚でわかるものに出来ない、よくコミックにしたと思う)ドラマになることもないとは思いますが、そのあたりも含めて次回で語ろうと思います。