My hero,my mystery

特撮ヒーローとミステリのブログです

半沢直樹がミステリだった件

 最近になってドラマ『半沢直樹2』を視聴しました(遅)。長男がDVDをレンタルしてきて一緒に観たわけですが、ドラマリアタイ放送時は世間の盛り上がりにも関わらず興味が湧かなかったんですよ。金融業界を描いているといった程度の知識しかなくて、銀行や証券の世界の何が面白いのだろう、世間一般の人にもわかる話なのだろうかと訝っていました。ところが、これが何とも面白いじゃないですか。金融の世界を知らなくても充分楽しめて、これまで「食わず嫌い」だったことを悔やむほど。今回はセカンドシーズンからの視聴だったので、次はファーストシーズンから観たいと思いました。

 

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半沢直樹

 セカンドシーズンでは銀行の行員だった半沢が子会社の証券会社に出向し、IT関連会社の買収から始まる一連の問題に取り組むわけですが、そのストーリーを考察してみて思ったこと。

「これ、ミステリだわ」

 話の展開の手法がミステリと一致している、いわば殺人事件の起こらないミステリなんですよ(自殺した人物はいたけど)。同様のことを思った方は沢山いらっしゃるでしょうし、それを今さらごちゃごちゃほざくのもどうかと考えたけど、イコール(=)ミステリだと思ったら、何か語らずにはいられなくなってしまった。

 まず、会社買収に関して不可解な問題(事件)が起きる。その問題に関して推理を働かせた半沢(ミステリなら探偵)が関係者をあたり、証言や証拠を集める。半沢の部下たちが関係者の動きを見張る場面は警察の張り込みそのものでした。登場人物は皆、一筋縄ではいかない曲者揃いで、思わせぶりな言動をするわ、駆け引きや裏切りの応酬やらで、誰が何をどう思っているのか、なかなか本心が判らない。さらに、二重三重と裏があって混乱するばかり。本当に悪いヤツは、そいつを操っている黒幕は誰なのか、場合によっては罠を仕掛けてあぶりだす。そして最後に、関係者の前で彼らの悪事を暴き、問題の全貌を晒して解決する。探偵が関係者・容疑者を集めて「あなたが犯人ですね」と指摘する場面と一緒。すべてが明らかになり「そうだったのか」のカタルシスが得られると共に、半沢が悪者を一喝する姿は「よくぞ言った!」でスッキリ、スカッとするわけですね。

 グレーゾーンの人物を疑わしく見せるミスリードはミステリの常套手段であり、悪者らが悪事を働く羽目になった動機もしっかりと語られる。半沢たちがギリギリのところで難を逃れる場面はまるでサスペンスで、ピンチに助っ人が現れる展開はヒーロー物じゃん。金融のことがよくわからなくても、それらの要素で充分に楽しめるお話ということだったんですね。笑えるシーンもたくさんあって、こりゃあ、なるほどウケるわけだ。役者さんたちは芸達者揃いで、歌舞伎役者、大河ドラマ出演者も多く見応え抜群。刑事物且つミステリ要素ありの相棒出演者も多いよな。殺人が起きないミステリ、充分に堪能いたしました。