横溝作品にハマッた経緯は前回の記事で述べました。
この記事☝では原作についての語り、好きな作品ベスト10を挙げましたが、今回は映像化、主にドラマについて語ってまいります。
※ドラマ未視聴の方はここまでにしておくことをお勧めします。
オラの手元には『僕たちの好きな金田一耕助』という冊子がありまして、これを参考に毎度内容を練っておりますが、片岡千恵蔵氏に始まる戦後の金田一映画については省略し、ここでは蓬髪に袴姿、原作の金田一像を忠実に再現した1976年の映画『犬神家の一族』以降の作品を取り上げます。
石坂浩二氏が金田一を演じた『犬神家～』の映画が大ヒット。翌77年から連続ドラマとして「横溝正史シリーズⅠ」が始まりました。このドラマが映画も含めての、オラにとっての№1映像で、あれから何十年と経ち、金田一役を演じる役者さんが次々に現れても、今でもイチ推し金田一は古谷一行氏なのです。
この「横溝シリーズⅠ」翌年の「Ⅱ」と、のちの二時間ドラマの「金田一耕助シリーズ」を合わせた、いわば古谷氏の演じた金田一のドラマDVDが近年月刊誌の形で販売されましたが、横溝シリーズのみコンプリート。「金田一シリーズ」は再放送された作品については視聴し、録画を保管しております。
さて「横溝シリーズ」で取り上げられた作品は以下のとおり、①～⑥がシリーズⅠで、⑦～⑮がⅡです。それでは作品毎、好き勝手にコメしてみます。キャストに関しては敬称略としますが御了承ください。
①犬神家の一族 ☜記念すべき第一作。赤い曼珠沙華の印象が強烈。初めて観た時、ほぼ全てのキャストが原作のイメージ通りで感動。特に、映画ではあおい輝彦の演じていた佐清に田村亮がキャストされたことがアタリだと思った。反対に、映画の珠世役の島田陽子はハマッていたのに、ドラマではあまり知られていない宝塚の女優ということで不満を感じた。これ、田村・島田でやってくれたらバッチリだったのにな。ドラマの展開は殺人シーンの描写に不自然さが残ったものの、忠実に再現、とまでは期待していなかったので、まあまあOK。佐清が逗留する柏屋の描写が良かった。珠世が地元を出て行くラストの改変には不満。男を頼らない新しい女性像にしたかったのかもしれないけど、ここはやはり佐清を待っていて欲しかったなと。佐清が可哀想じゃん、何もかも失くしているのに出所したあと、どーすんだよ。
➁本陣殺人事件 ☜文章ではイマイチわかりにくいメイントリックが映像化されることで「こうなって、ああなって、こうやって刀が動くんだ」と理解できるのが一番のメリットかな。西崎みどりの鈴子の儚さはナイスキャスティング。
③三つ首塔 ☜こちらもキャスティングは最高！（高頭俊作＝黒沢年男を除く）ピーター、米倉斉加年、小池朝雄、小松方正と、よくぞこのメンツにしたわ、皆さんハマり過ぎやろってくらいのハマり具合で、親戚一同が会するシーンの怪しさ、胡散臭さとか、黒沢＆ヒロイン真野が潜入するパーティーの猥雑な雰囲気等、原作の世界観がそのまま再現されていると思った。エロシーンが激し過ぎていたたまれなかったけどね。願わくば黒沢の役どころのキャストをもっとスマートなクール系イケメンにして欲しかったな。「時には娼婦のように♪」（それはいらない）
④悪魔が来りて笛を吹く ☜オラの一番のお気に入り作品はドラマでも一番だった！ キャストがいいんですよ～、椿英輔・美禰子・新宮利彦・三島東太郎と、もう皆さんイメージにピッタリ……と言いたいところだけど、秋子がイマイチかな。もっと西洋風のルックスの女優さんに演じてもらいたかった。着物じゃなくてドレスが似合うタイプね。ストーリーも忠実で、帝銀事件に始まり、須磨まで捜査に行った描写は良かったけど、目賀博士まで殺してしまったのはやり過ぎかと。容疑者減らし過ぎやろ。ラストはちょっといただけない。ドラマ化すると、有名女優をキャスティングするせいか、犯人を擁護するような結末に改変されることが多いけど、悪いやつは悪い、で決着して欲しい。
⑤獄門島 ☜西の事件の担当は磯川警部でなけりゃね。金田一物のナンバーワンヒロイン・早苗もイメージ通りで、そこらはOKなんスが、志保役を大女優・浜木綿子にしたためか、やたらと志保が出張る脚本にちょっと不満。ストーリー展開はほぼ忠実だし、了念和尚を始めとするベテラン俳優陣の重厚な演技はさすがというか、映画以上のクオリティ。今なら、いちドラマとしては、こんなふうには撮れないと思う。
⑥悪魔の手毬唄 ☜青池リカ・歌名雄・里子といったメインメンバーはいい感じにまとまっていると思ったが、グラマーガールと呼ばれていた大空ゆかりを夏目雅子にするのはどうなの？ 似合わなくね？ 当時の写真を見ても衣裳といい化粧といい、無理している感がありあり。それ以外は問題なかったんだけど。
Ⅱの範囲（⑦八つ墓村 ⑧真珠郎 ⑨仮面舞踏会 ⑩不死蝶 ⑪夜歩く ⑫女王蜂 ⑬黒猫亭事件 ⑭仮面劇場 ⑮迷路荘の惨劇）に関してはドラマ編❷にて。
